私たちのチームは実用的な量子計算機の実現を目指し、量子計算機の望ましいシステムやソフトウェアの形を探求しています。チームではまず量子計算機の基礎と現在の誤り耐性量子計算機の仕組みについて学び、自身の興味に基づき現状や今後の課題を俯瞰的に探索できるようになることを目指します。その後、誤り耐性量子計算機の全体の設計や重要となる要素に、新たな考え方、方法論、実装などを持ち込んで改善し、最先端の開発に貢献することを目指します。テーマは本人の興味や特技などに基づいて指導教員と連携して探索します。得られた結果は国内会議で発表したのち、内容に応じて物理の論文誌や計算機分野の国際会議などに投稿します。
研究テーマは通常の計算機の仕組みやソフトウェア開発の考え方を扱うものが多いため、新しい計算機の仕組みやソフトウェアの設計を学び、その性能を改善するアイデアを考え自身で手を動かして実装し改善することに興味がある方を歓迎します。具体的な量子計算や計算機の知識は、取り組む内容や興味に応じて講義や輪読を通して学んでいきます。以下に、これまで教員がメンターを務めた研究テーマや学生の方と取り組んだテーマの例や、構築したソフトウェアや過去のリリースの解説記事を、アプローチのカテゴリや国内会議での日本語の発表原稿とリストしています。査読付きの英語論文などについては出版論文のページを参照ください。
通常の計算機やプログラムを効率的するためのアイデアを、量子計算機に適用する
- 重ね合わせ状態のループ計算を並列化して計算効率を高める: QS6 (2022) 優秀発表賞
- 複数のプログラムを同時に実行することで量子計算機の効率を高める: QS9 (2023) QS14 (2025) 学生奨励賞
- あまり使わないデータを転送は遅いが効率の良いメモリに入れて必要なデバイス規模を減らす QS11 優秀発表賞
- 通信と演算を並行して行うことで分散量子計算を高速化する: QS14 (2025)
- 状況に応じて量子誤り訂正の手法を切り替えることで精度を維持しつつ速度を改善する: QS16 (2026)
アルゴリズムやデータ構造を用いて、量子計算機のシステムやプログラムを効率化する
- フェニック木を用いて損失エラーなどの特殊な量子エラーがある箇所を効率的に管理する: QS5 (2022)優秀発表賞
- 学習が不完全な量子生成モデルから効率的に誤差を取り除く方法を提案する: QS6 (2022) 学生奨励賞
- エラー推定の一部の計算を事前に行い、ルックアップテーブルに入れておくことで効率化する: QS7 (2022)
- 大規模な連続量の光量子計算を小規模な光量子計算の組み合わせで再現する: QIT48 (2023)
- 複雑な量子計算のサブルーチンを小さな演算の積に分解して効率的に実行する: QIT48 (2022)
- 命令スケジューリングを3次元の経路探索問題に帰着しグラフの問題として解く: QS8 学生奨励賞
スパコンやプログラミングの技術を駆使して、量子計算の機能を高速に評価し検証する
- 再帰的に定義される複雑な量子操作を安全かつ効率的に記述する方法を提案する: QS5 (2022)
- 誤り耐性量子計算機のプログラムを基本命令をコンパイルできるようにする: QS6 (2022)
- 富岳を用いて量子誤り訂正のシミュレータの計算を高速化する QS11 (2024) 学生奨励賞
優れた理論を現実的な物理系で実装できるよう、理論と実装のギャップを埋め将来の困難を先回りして取り除く
- 二つの離れた原子集団の間で符号化された量子もつれを作る: QS7 (2022)
- 通信中に生じるバーストエラーの影響を緩和するように量子データを直列化する: QS8 (2023)
- 量子ビットの状態がリークするエラーをテンソルネットワークを用いて効率的に評価する: QS9 (2023) 学生奨励賞
- 演算と通信の速度に差がある中で誤りに耐性のある通信をする: QS11 (2024)
- 中性原子とHGP符号を用いたアーキテクチャの基本命令セットを作る: QS14 (2025)
量子計算機の開発プロジェクトに参加し、量子計算機を制御するソフトウェアをチームで開発する
- 研究で必要になる様々な機能を扱える高速な量子回路シミュレータを開発する (github)
- 量子計算機のプログラムを記述してコンパイルし、実行時間や計算機の要求性能を評価するツールチェインを開発する (github)
- 集積化された超伝導量子ビットを効率的かつ自動的に校正し制御するソフトウェアを開発する (解説ページ)
過去のプレスリリースの解説記事
- メモリとプロセッサを分離した新たな量子コンピュータのアーキテクチャを提案――移植性の優れた高メモリ効率な設計で実用的な量子計算への道を切り拓く―― (解説ページ)
- 未来の量子計算機は何をめざすべきか? ―実用的インパクトのある量子優位性に向けて― (解説ページ)
- 大阪大学に設置した超伝導量子コンピュータ国産3号機の クラウドサービスを開始 ~国産部品やソフトウェアの検証・改善環境を構築し日本の量子コンピュータ開発を加速~ (解説ページ)
- 量子コンピュータを利用できる「量子計算クラウドサービス」開始-国産超伝導量子コンピュータ初号機の公開 (解説ページ)
- バーストエラーに耐性のある量子コンピュータのアーキテクチャを世界で初めて提案 ~量子コンピュータの動作状況に合わせ機能する誤り訂正機構を実現~ (解説ページ)
- 量子計算機のハードウェアとアルゴリズムのエラーを抑制できる手法を開発 ~演算を高精度化する一般的な枠組みを提唱~ (解説ページ)
- 実用化に必要な誤り耐性量子コンピュータの規模を飛躍的に小さくする技術を開発 ~世界初の量子誤り訂正/抑制のハイブリッド方式を提案~ (解説ページ)
- 論理量子ビット間での演算を可能にする極低温環境での量子誤り訂正手法を世界で初めて開発 ~大規模量子コンピュータの実用化に向け大きく前進~ (解説ページ)
- 超伝導量子コンピュータ向けの極低温環境での量子誤り訂正手法を開発 ~大規模量子コンピュータ開発の鍵となる技術を世界で初めて実現~ (解説ページ)